CA(キャビンアテンダント)や GS(グランドスタッフ)など、エアライン就職の現場でよく出される質問の中に方言と関わりのあるものがよく見られます。具体的には「方言はエアライン就職で不利になるか?」というもの。方言は自然に身に付いているものなので、面接試験の場でいくら標準語を心がけていても無意識のうちに出てしまうことは十分考えられます。そのために方言を徹底的に直しておいたほうが良いのか?という不安を持っている人は少なくありません。
実際のところ、エアライン就職で方言は不利になるのでしょうか。エアライン就職と方言の関係について考えてみました。
エアライン業界に就職するには、何よりも即戦力となるスキルとホスピタリティを身に付けることが大切です。
仕事で使うのは標準語、しかし面接の決め手ではない
エアラインで働いている人の話し言葉に注意していると、どの人も基本的には標準語です。方言やイントネーションの違いから誤解が生じ、トラブルの原因となる恐れがあるので、アナウンスでは誰もが聞き取りやすい標準語が使われています。
こうした現場を見ていると、やはり方言は修正しないといけないのかと感じる方も多いと思いますが、これは職場で使う公式の話し言葉の場合です。その人が日常会話で使っている方言を直す必要はありませんし、面接試験において不利になるということもありません。
もちろん面接試験は標準語が望まれますが、そこでふと出てしまう方言まで厳格さは求められていません。その理由は、「公式の時は使い分けをしてくれればいい」という考えが根底にあるからです。面接試験対策で方言を完璧に修正しているものの、他の部分で不安が残る人がいたとします。その一方で、人物的にぜひ採用したいと思うものの方言が抜け切れていない人がいるとします。この両者で航空会社がどちらを採用するかというと、ほとんどの場合後者になります。つまり方言が選考の決め手にはならず、あくまでも人物や能力重視です。
最近では方言やパーソナリティを前面に出している航空会社も
LCC の台頭により、航空会社も多様化しています。JAL や ANA しか存在しなかった時代とは違い、Peach やバニラエアなど個性的な航空会社が続々と誕生してシェアを伸ばしています。海外の LCC も含めると日本には現在数え切れない数の航空会社が乗り入れています。
Peach は大阪が本拠地の航空会社なので、大阪らしさを敢えてアピールする戦略を採っています。Peach の飛行機に乗って目的地に着陸すると、キャビンアテンダントが最後に「今日は、ほんまおおきに」とアナウンスすることは有名です。方言 NG と言われているエアラインにおいて、こうした方法で親しみやすさと気軽さを前面に押し出しているのです。
同じく国内 LCC のバニラエアは、担当 CA を紹介する時に個人的な趣味や失敗談などを交えて笑いのあるトークをすることで知られています。
このようにユニークなサービスを提供している現在では、方言についての悩みが以前ほど大きくないというのが実際のところです。
しかし、標準語は必須
だからと言って、方言丸出しでエアラインの仕事が務まるかというと、それはさすがに難しいでしょう。アナウンスや接客時には標準語を使うことが必須なので、方言が残っていたり、地域密着型のエアラインで方言が共通語の場合は全く問題ありませんが、国内各地・各国での仕事の際にはプロの標準語が使えるというのが前提になります。
もっとも、アナウンスなどは航空会社に就職してからの初期訓練や資格を持った CA が講師を担当するアナウンス講座を利用し練習するものなので、入社後に自然な標準語を身につけていくことも十分可能です。機内アナウンスには社内グレードがあり、より良いグレードを取得できるように日々練習を重ねているそうです。一定以上のグレードがないと担当できないほど、お客様に楽しい気持ちになってもらったり、お客様を安心させるためのコミュニケーションツールとしての重要な役割があるということがよくわかりますね。
CA を目指す人は四季の移り変わりなどを祈り込む FSC(Full Service Carrier)の機内アナウンスに耳を傾けてみてはいかがでしょうか。