エアライン就職で最大の関門となるのが、人物重視の面接試験です。筆記試験のように受験対策をしにくいことや、特殊な職種であるため何を質問されるか分からないので緊張もしますし、本来の力を出し切れないという声もよく聞かれます。 ここで少し考えていただきたいのですが、「本来の力を出し切れない」というのは、どういうことでしょうか。想定していない質問だったので戸惑ってしまったという理由や、用意していた答えをちゃんと話せなかったという結果などを指していると思いますが、なぜこうしたことが起きるのでしょうか。
もしかすると、最も大切なことが抜け落ちているかも知れません。最も大切なこととは、「自分の言葉で話す」ことです。
一般的な面接対策では想定問答をもとに練習をしますが、この時の回答が本当に自分の言葉なのかどうか、考えてみて欲しいのです。実際によくある質問をもとに、自分の言葉の大切さを解説しましょう。
エアライン業界に就職するには、何よりも即戦力となるスキルとホスピタリティを身に付けることが大切です。
志望動機への回答
面接で出される質問の中では定番中の定番、おそらくこの質問が出ない面接試験はないでしょう。国内系、外資系に関わらず面接試験の基本となる大切な質問です。
長々と回答を用意する人もいますが、ここで一番大切なのは心から思っていることを述べているかどうかです。小手先のテクニックで美辞麗句を並べるよりも、「この人は会社を愛して活躍してくれるか」という点に注目しているのですから、そのエアラインや CA という仕事に対する情熱や覚悟を自分の言葉で語りましょう。
特にそのエアラインが持つ強みや特徴をしっかりと分析して、そこに自分がなぜ魅力を感じているのかを考えてみて、自然な言葉にするのがベストです。
例えば JAL であれば日本で最も伝統のあるエアラインで、その信頼の高さや充実した路線ネットワーク、サービスの質の高さや運航の正確性など、自分が本当に魅力だと思うところをしっかりと語るのが良いでしょう。ANA は JAL に対して民間での航空運送事業の草分けであり、挑戦することや先進性の高さが特徴です。ボーイング 787 をいち早く導入したり、日本初の国産ジェット機である MRJ のローンチカスタマー(最初の顧客)にもなっています。
志望エアラインが自信を持っている部分とこれから発展させていく部分に魅力を感じ、そこで何をしたいのか、またできるのかということを理路整然と話すことができれば、論理的で面接官にも伝わりやすいでしょう。
自己 PR の組み立て方
志望動機に次いで大きな関門と見られているのが、自己 PR です。つい自分を良く見せたくもなりますが、初めて会う人にあなたがどのような人か知ってもらうためには、「あなた自身」が自分はどのような人物か理解することが大切です。応募書類でも面接でも「自分のことを売り込む」ということが自己 PR なのです。「自分というよい商品を売り込みに行く営業レディ」だとイメージしてみてください。それは面接官の立場に立つということでもあります。
商品としてアピールしたいのが、エアラインで CA として働く可能性を感じてもらえるような能力や資質です。「人を喜ばせるのが好き」というのは回答例でもよく見かけますが、そこに根拠や証拠が必要です。
例えば、「外国を旅行している時に現地で優しくしてもらったことに感銘を受けて、日本で外国人に親切にしたらとても喜ばれた」という思い出を面接で語った人がいます。人に親切にする喜びを知ったきっかけが明確で、だから CA になって世界中の人に喜んでもらいたいという気持ちを、起(導入)承(説明)転(経験)結(適性)の組み立て方に注意して伝えることで共感が得られるのです。「引っ込み思案な性格を変えようと外国語のサークルに入ったら物事の味方が変わった」というのも、自分を変えようとする資質や語学力、国際感覚を同時にアピールできるエピソードでしょう。
個別の質問についても考え方は同じ
その他にも、「どんな CA になりたいですか?」「なぜ CA なのですか?」「弊社についてどんなイメージを持っていますか?」などなど、個別の質問を矢継ぎ早にされます。
ここで想定していなかった質問が出された時に戸惑って「本来の力が出せない」となってしまうわけですが、実は面接官にとってはそれこそが最も見たいシーンなのです。なぜならお客さまとのやりとりに台本はなく、その場での対応力が求められるからです。質問に対してスラスラと答えるだけでは面接対策をしっかりしてきた人だという評価にしかなりませんし、想定外の質問が来た時の応募者は自分の言葉で答えるしかありません。毎日の生活を楽しみ、さまざまなことに興味・関心を持ち、たくさんの人に出会うことでオリジナルなエピソードが生まれますし、幅広い話が出来るので「この人は魅力のある人だな」、「どのような人ともきちんと関わることができそうだな」という評価になります。このように CA の資質として重要視されるのが『会話力』であり、面接の場であっても心に余裕がある人は機内でもお客様満足を高めると期待されるでしょう。
また、グローバル社会では目を見て話さない人は信用されません。これは日本人にとってはなかなか難しいことですが、笑顔で目を見て話すことが面接でのマナーなのです。採用試験という公の場までに自分の考えや言葉をしっかりと整理しておくことが重要なのです。
大阪ホテル・観光&ウェディング専門学校のエアライン系コースではもちろん面接対策も行いますが、そこ重視しているのが小手先のテクニックではなく自分の言葉で答えられるコミュニケーション能力です。大切なのは就職試験を突破することではなく、その後にあるエアラインの一員としての活躍です。その時に役立つ能力をしっかりと自分のものにしておくことで、面接試験の場でも「この人を採用すると活躍してくれそうだ」という印象を与えることができるわけです。